アンティーク家具の脚にもいろんなデザインがあります。

優れたデザイン · 脚のデザイン

アンティーク家具のいい所に、デザインが挙げられますが、その中でも、気になるのが脚のデザイン。「おシャレは足元から」とよく聞きますが、それはお洋服だけに限ったことではなく、アンティーク家具の世界でも同じなんだな・・・と思ってしまいます。

いろんな足や彫りがあるのですが、時代によって脚のデザインも違っていろいろ。それぞれに意味が込められているんです。それを知るだけで、なんだかアンティークの深さを感じてしまいます。ここでご紹介したいと思います。


アンティーク家具と言えば、美しいカブリオールレッグのデザイン、猫脚が魅力です。

やっぱり猫脚の家具って素敵です
やっぱり猫脚の家具って素敵です。

よく「猫脚」と呼ばれる、アンティーク家具らしい曲線デザインの脚。これは、カブリオールレッグと言って、動物の脚をモチーフにした脚のデザインのことなんです。
よく見てみると、実はいろんな動物の脚がモチーフになっています。

「カブリオール(Cabriole)」とは、フランスのダンス用語で「弾む」とか、「飛び上がる」という意味で、さらにさかのぼると、イタリア語のヤギ(Capriola)が飛び跳ねることを意味します。

例えば、カブリオールレッグの中でも、比較的シンプル?な形の猫脚は、ウィングバックチェアなどのアンティークの椅子や、アンティークのチェストなどによく使われています。

クロウ&ボールの脚
クロウ&ボールの脚。よく見ると、いろんな足が玉を掴んでいます。

同じ猫脚でも、こちらは「クロウ&ボール」という形です。よく見てみると、猫脚の中にさらに彫が入っているのがわかると思います。

これは、鳥の足がたまごを掴んでいたり、龍が玉を掴んでいるモチーフなんです。確かに、よく見ると、ガッチリ掴んでいる様子が見えると思います。たまごや玉には「知恵」とか「財産」の意味が含まれているので、それを掴むということで「幸せを運んできてくれる」意味が込められているアンティーク家具です。

なので、マホガニー材などの最高級のアンティーク家具でよく見かけるクロウ&ボール。刃物の刃が負けてしまうほど固い樹木を使って、よくこんなにキレイに彫刻が出来るな~と、いつも驚いてしまいます。

いろんなアンティーク家具に使われるデザイン、バーリーシュガーツイストの脚のアンティーク家具

バーリーシュガーツイストデザインの脚
バーリーシュガーツイストデザインの脚は、デザインが美しくキレイです。

私たちは「ツイスト」と言っている、クルクルネジネジしている脚のデザイン。本名は「バーリーシュガーツイスト」と言います。

くるくるとしたデザインが、なんとも女性らしくて美しく、人気の高いバーリーシュガーツイストは、アンティーク家具の中でもテーブルやアンティーク椅子、キャビネットの支柱などなど、いろんな家具で見かけることが出来る人気者です。

もともと、このバーリーシュガーツイストとは、大麦(Baerley)から作られたねじり飴。このデザインも、もともとは飴なんだ・・・と思うと、なんだか美味しそう(笑)

17世紀の後半に、このツイストのように、ねじった形の挽き物細工が流行しました。木製家具の美的価値を高めるためのデザインですが、これは、木を削る刃をスライドさせる技術が開発されたことで、作れるようになったデザインです。

ツイストと一言で言っても、いろんなツイストがあります。見ているだけでワクワクしてきます。

ポコポコした丸いボビンターニングレッグ脚デザインのアンティーク家具

ボビンターニングレッグ
昔の糸巻きのデザイン、ボビンターニングレッグはちょっとめずらしいです。

ツイストと同じように、17世紀に発達した挽き物細工の中の一つに、ボビンターニングレッグがあります。ツイストによく似ているのですが、よくよく見ると・・・ツイストと違って捻れているわけではなく、一つ一つが丸いんです。

これは、名前の通り、糸巻き(ボビン)を重ねたようなデザイン。こけしを作るように、ろくろを回して作られたボビンレッグは、1630~75年頃に流行したデザインと言われています。
アンティークのコーヒーテーブルや、椅子の脚などで見かけます。

パイナップルのような、バルボス(パイナップルレッグ)デザインの脚のアンティーク家具

バルボスデザイン
パイナップルのようなバルボスデザインのアンティーク家具。いろんなものがあります。

私たちの間では、通称「パイナップル」と呼んでいるデザイン。正式にはバルボスレッグと言います。
なぜパイナップルと呼んでいるかと言うと、パイナップルに似ているから(笑)でも、パイナップルレッグでも通じることがわかって、みんな考えていることは同じなんだな~と思ってしまいました。

正式な名前、バルボスとは球根のこと。16~17世紀初め頃のエリザベス女王時代にイギリスで流行しました。最初は、シンプルな球根のような形でしたが、だんだん装飾が複雑になって、パイナップルやメロン、お花やフルーツなどなど、いろんな彫が描かれています。

アンティークの家具や椅子、テーブルの支柱だけではなく、建物の柱などにも使われています。

スッキリとカッコイイデザインのアンティーク家具に似合う、テイパードレッグ

テイパードレッグ
スッキリとした直線的で四角い足のテイパードレッグです。

まっすぐでスッキリとしていながら、なんだか途中がさり気なくちょっとだけ段になっている・・・そんなデザインの足が、テイパードレッグです。

マホガニーやローズウッド材などの高級なアンティークの椅子や家具の足のデザインは、このテイパードレッグのような気がします。

「テイパード」とは、だんだん先が細くなっているという意味。もともと細い足ですが、さらに先にいくに従って、細くなっていきます。

これは、18世紀の後半に、シノワズリやゴシック様式が人気だったころ、直線的で四角いシンプルなデザインが流行しました。その一つがこのテイパードレッグです。

シンプルだからこそ、その家具をさらに美しく魅せてくれる・・・そんな雰囲気が感じられます。

どっしりと安定感のある脚のデザインのアンティーク家具が、パッドフットです。

パッドフット
足の部分はパッドフット、キャビネットの上の部分を支えているのはバルボスデザインの美しいアンティーク家具です。

今まで紹介してきたアンティーク家具の脚のデザインが、「レッグ」だったのに対して、「フット」と表現されているこのデザイン。名前の通り、脚全体のレッグではなく、足の先の部分、フットをモチーフにしたデザインのアンティーク家具です。

どっしりと大地に足を置いているような形のパッドフットは、獅子やイヌ、キツネなどの形をしているものが多く、見ていても楽しいです。

ちなみに、写真の家具は、足元はパッドフット、キャビネットの上の部分は、バルボスレッグになっている、なんとも贅沢なデザインのアンティークのサイドボードです。


キャビネット

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