無垢材を使った家具や、木のことについて

無垢材
全部木に見えますが、実は、違うんです。
この中で本物に木はどれでしょう?

一言で家具と言っても、よく見るといろんな素材で作られています。その中でも、やはり一番馴染み深いのは木で出来ている木製の家具です。アンティーク家具の場合は、ほとんどが天然木の家具です。

一見、同じに見える木の家具でも、素材や作り方も様々。その違いが価格の違いにつながってくるのですが、知らないで購入した後から「しまった!」と思う方も多いです。

家具はなかなか買い替えが出来ないものだから、家具選びに失敗しないように、ここでは基本的な、木の家具のことをお話します。


木だと思ったのに、実は本物の木で出来ていない家具も多いんです。

家具を見に行ったときに、「模様が木目だから木製!」と当たり前に思いがちですが、実は違うんです。同じような木目でも、実は木じゃない場合も多いんです。
「木の模様なのに木じゃないって、どういうこと?!」と思いますよね。

木製に見える家具の中には、本物の木で出来ているもの、本物の木を薄くスライスして貼っているもの、木の模様をコピーした紙を貼っているものの3種類があります。

無垢材正解
正解は、一番左でした!側面をみると、よく分かります。右からプリント合板、突き板、無垢板です。

無垢材(本物の木)で造られた家具について

無垢材とは、カットした木を、そのまま板にしたもののことです。なので、無垢材の家具とは、本物の木の板を使って作っている家具のことです。

無垢材の家具は本物の木がそのまま使われているので、木の重みもあり、見た目の重厚さも感じられます。アンティーク家具は、天板や脚、側面、キャビネットの中の棚板などに、無垢材を使って作られているものが多いです。

無垢材の場合は、本物の木なので、木(樹種)の種類によって、木目や色がそれぞれの木によって特徴がいろんな樹種があるので、好きな木目や色で選んで下さい。


家具の幅の広い面に使われるのは、無垢の集成材です。

家具の幅の広い面に使われるのは、無垢の集成材です。

一言で「無垢材」と言っても、いろんな無垢材の家具があります。それに合わせて金額も多々。
一般的に家具の幅の広い面に使われる無垢材とは、一枚板ではなく、無垢の集成材になります。

無垢の集成材とは、カットした木を接着剤で接着して作ったもののことです。幅の広い面などに無垢材を使う場合、どうしても割れや反りが入ってしまったり、節が多かったりするので、無垢材を集成材に加工してから家具にします。


一枚板の家具は無垢材の家具ですが、無垢材の家具は一枚板の家具ではありません。

よく見かける一枚板はこんな感じ。お蕎麦屋さんのテーブルにピッタリ!
よく見かける一枚板はこんな感じ。
お蕎麦屋さんのテーブルにピッタリ!

よく「一枚板で作られていますか?」と質問を受けることがあります。多分、「無垢材の家具」のことを言われていると思うのですが、家具に関して、一枚板で造られている家具というのは、テーブル以外、ほとんどありません。

ちょっとややこしいのですが、
一枚板の家具は無垢材の家具なのですが、無垢材の家具は一枚板の家具ではないんです。

と言うのは、一枚板とは、木をカットした時、そのままの一枚の板のこと。全てがつながっている、まさに「一枚の板」のことなんです。
一枚板で作られているテーブルとは、よくお蕎麦やさんなどで見かける切りっ放しの木の形に見えるような板のようなことです。

通常、一枚板と言うのは、必ず反ります。なので、一枚板をそのまま、反り止めをせずに使って家具を作ることは出来ません。
また、反り止めをしたとしても、必ず反るので、幅の広い面を使う時には、大抵の家具が一枚板ではなく、無垢材の集成板というのが正しい表現になります。


余談ですが、一枚板の座面のアーコールチェアは、ほぼ見つかりません。

アーコールチェアの座面
この座面も、まるで1枚板のように見えます。
さすがアーコール。

1956~58年ごろまでに製作されたアーコールスタッキングチェアの中に、座面が一枚板で出来ているものがあります。
まさに逸品なのですが、座面一枚を、一枚の板から切り出すということは、その分、大きな木が必要になるので、そんな木はめったにありません。

時々「一枚板の座面のアーコールですか?」と聞かれることがありますが、ほぼ見つかりません。逆に、アーコールの優れた技術で、まるで1枚板のように、何枚かを接着して作っている座面を見ることはあります。私もよくよく見ても気が付かないくらい・・・さすがアーコールです。

新しいアーコールは、大体5から7枚ぐらいの板を剥いで座面が作られています。


無垢の集成材にも価格はいろいろです。無垢材だから高級というわけではありません。

無垢の集成材
これも同じように無垢材の家具ですが、安価。
つなぎ方や一枚一枚の細さなど、理由は多々です。

無垢材の家具だから、高級と思われる方も多いのですが、無垢材にもいろいろあって、無垢材だから高級というわけではありません。

同じ無垢材でも、よく安価な家具に使われるようなゴムの木やバーチ材などは、本当に安価です。色も白っぽいものが多いので、お手頃な家具で「ウォルナット色」とか、「チェリー色」と書かれているものは、安価な木にウォルナットの色やチェリーの色を着色したものです。

本物のウォルナットやチェリー、マホガニーやオーク材を使って造られているアンティークの家具などは、木、そのままの色で、着色をしていません。

なので、本物のウォルナットやチェリー材などを使った家具は、彫っても彫っても、色は濃いまま。なので、キズがついたときなどでも削って修復することが出来ますが、色を付けている場合は、また色を塗らなければいけません。


無垢材の集成材の作り方もいろいろ。よく見ると違うんです。

無垢材の集成材の作り方

剥ぎ方(繋ぎ合わせ方)にも違いがあり、ここにも金額に差が出ます。

例えば、上の写真のように、安価な家具の場合、確かに同じ無垢材ですが、使っている無垢材の幅が狭かったり、長さが短いものを繋ぎ合わせているものが多いです。

細切れを繋ぎあわせているので、面で見たときに、繋ぎ合わせの部分が見えてきます。

無垢材の集成材の作り方

アンティーク家具や高級な家具に使われる無垢の集成材の場合、広めで長い板をを使ってつなぐため、大抵、面につなぎ目が出ないようになっています。

もちろん、どちらも同じ無垢材です。が、やはり同じ無垢材でもいろいろ違いはあります。逆に、無垢材だからいい家具とか、高級というわけでもありません。

自分の中で一番こだわっている部分を考えてみましょう。